お酒に強い、弱いを遺伝学的に解説
みなさんは普段よくお酒を飲む人が多いと思います。
特にこれを読んでいる大学生の皆さんは入学早々たくさんの飲み会に足を運んだ経験があるのではないでしょうか。
また、みなさんはよくお酒の弱さは遺伝すると聞いたことがありませんか?
では遺伝するとは医学的にはどのようなことなのでしょうか。今回はそれを解説していきたいと思います。
アルコールの代謝について
体内に摂取したアルコールはまず、アルコール脱水素酵素(Alcohol dehydrogenase:ADH)と、microsomal ethanol oxidizing sustem(MEOS)によって代謝され、アセトアルデヒドを生じます。
そして、このアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(Acetaldehyde dehydrogenase:ALDH)によって酢酸に代謝され、最終的には水と二酸化炭素にまで分解されます。
お酒に強い弱いを決めているのはこのALDHという酵素なのです。
なぜALDHがお酒に弱い・強いを決めているの?
これを読んだみなさんは、ではなぜそのALDHがお酒に弱いか強いかを決めているのという疑問が生じてくると思います。
これはアセトアルデヒドには強い細胞毒性があるということが原因になります。飲酒によって過剰に生成されたアセトアルデヒドは、肝臓だけではなく、中枢神経、心臓、血管、副腎および脂肪組織にも障害を与えることが知られています。
ヒトにはどのようなタイプの人がいるでしょうか
ヒトは誰しも母親と父親がいます。このことから、ヒトの染色体は2本ずつあることになります。このような生物を二倍体生物といいます。このため、ヒトはALDHをコードする遺伝子を母親からと父親から一本ずつもらうことになります。
すると考えられるパターンとしては、ALDH2*1(活性型:以下ではノーマルの頭文字をとってN型と呼びます)とALDH2*2(不活性型:以下ではデフィシエントタイプのD型と呼びます)による、3パターンが考えられますね。
なんと日本人ではこんなにもお酒に弱い人がいるのです!
ちなみに、このALDH2の変異は染色体12q24のエクソン12のQのコドンGAAがKのAAAに変化していることが原因であることがわかっています。
(ここで、あえてアミノ酸を1文字表記で書いて見たのですが、しっかり覚えていましたか?
覚えていなかった方は下記のリンクからご覧ください🙇♂️)
DD型の人はどうやって代謝しているの?
次に皆さんが思うのは、DD型の人はALDHが失活しているということはお酒を飲んだらアセトアルデヒドが一生分解できなくて死んでしまうの?と疑問に思いますよね🤔
そんなことはないのです!
普段に人はアルデヒドの濃度が高濃度になるとALDH1が働いて、アルコールを分解することになります。
となると、DD型の人は、少しでもアルコールを摂取すると、一般の人はALDH2で分解するのに、分解できないので、いきなり高濃度になってしましALDH1の出番がやってきてしまうのです😂
そりゃ考えてみれば辛いですよね、、、、そのような人は一瞬で皆さんが大量に飲んだ時の状態になってしまうのです、、、
これらのことからみなさんに伝えたいのは、そのような体質の人もいるので、お酒の強要は絶対にやめましょう!!!というメッセージでした笑
では!
次回は、このような遺伝的多形はどのような手法で調べるのかという実験の手法について解説していきたいと思います!
今回も読んでいただきありがとうございました🙇♂️