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これだけ覚えておけば完璧DNA修復機構

 

こんにちは

最近全然更新していなくてすみませんでした。

 

 

本日は久しぶりに記事を書きたいと勉強しながら考えてたところ、

 

DNAの修復機構ってたくさんあっていつも覚えられないなぁと思ったので、

 

同じ悩みを抱えている人は多いのではないかと思い、

今回は修復機構についてお話ししたなと思いました!

 

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 私たちの体の中では絶えずDNA損傷が起こっている

知っていますか?!

 

今あなたがこの文章を読んでいる間に、

 

脱プリン反応によって体細胞全体で約1兆個のプリン塩基が失われているのです😂

 

さらには、シトシンからアミノ基が失われてウラシルが生じる脱アミノ反応もたくさん起こっているのです😂

 

このように大量の変異が生じていたら、

人間は普通一瞬で癌細胞を作ってしまい、

みんなが毎日がんを発症してしまうのではいかと思ってしまいますよね、、、

 

しかし、このような変異が生じているのにもかかわらず、

私たちが健康体でいられるのは、様々なDNAの修復機構が働いているからなのです。

 

では、以下でその修復機構を紹介していきたいと思います!

 

 

修復機構の概略

今まで勉強をしてきた人は分かるとおり、

修復機構にはたくさんの種類があります。

 

しかし、これらの修復機構は大まかには同じような働きをしているのです。

 

では、どのような機序かというと、、

 

1. 損傷を受けたDNAを認識するタンパク質がいて、

 

 それが損傷部位のDNAを認識し、

 

 そこをヌクレアーゼが切断して損傷したヌクレオチドを切り取る。

 

2. 切断されたDNA鎖にDNAポリメラーゼが結合し、伸長反応を行う。

 

3. 最後に生じたニックをDNAリガーゼが埋める。

 

 

原核生物の修復機構

塩基除去修復

 これはシンプルに、損傷を受けた塩基をDNAグリコシラーゼという酵素

 

 デオキシリボース骨格はいじらず、その変異部分の塩基だけを切り出して、

 

 DNAポリメラーゼⅠが正しい塩基を入れ直してDNAリガーゼが結合させるものである。

 

ヌクレオチド除去修復

 これはチミンダイマーや塩基の大幅な化学修飾の際に発動する系である。

 

 前述の塩基除去修復との差は、デオキシリボース骨格ごと

 

 複数のヌクレオチドを抜き取るところである。

 

 この時歪んだDNAを認識する酵素UvrA,B,C,Dという酵素である。

 

組み替え修復

こちらについては、書くと長くなってしまいますので、

 

次の記事で相同組換えと非相同組換えというテーマで紹介したいと思います。

 

光回復

これは紫外線を照射された大腸菌は死ぬが、

 

紫外線を浴びさせた後に可視光を照射すると生存する株が出てくる現象である。

 

可視光で活性化される酵素DNAフォトリアーゼが、

 

紫外線照射によって生じたチミンダイマーを直接修復することができるのです。

 

Mut系によるミスマッチ修復

これはDNA複製の際に生じたミスマッチを修復する現象です。

 

もし複製の際にミスマッチが生じると、図のように塩基対が形成できなくなり、

 

ポコッと盛り上がったようになります。(イメージですが)

 

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ミスマッチのイメージ

 

するとそのモッコリした部分を認識するMutというタンパク群が存在するので、

 

それらのタンパクが認識し、その塩基を修復するのです。

 

しかし、今

 

「この図のような感じだとどっちの塩基がミスで生じたかわからなくない??」

 

と思った方も多いと思います。

 

正解です。

 

この状態では誰もどっちの塩基がミスで生じたものかわからないのです。

 

しかし、私たちの体の細胞は頭がとても良いので、

 

どちらがミスで生じたものかわかるのです。

 

その仕組みを、Dam系によるミスマッチ認識と呼びます。

 

さっきからアルファベットのものばっかりでうんざりの方もいるかと思います😂

 

でも今回は覚えやすいです。

 

Damはある特異的なDNA(-GATC-)のAチル化するから、Damというのです。

 

このタンパクの活性は高いので、元々あったDNAのこの配列のAはすでにメチル化されています。

 

そのため、複製により生じた鎖の中に生じたこの配列はまだメチル化されていないのです。

 

このことによって、私たちの細胞はどちらの鎖が古い方かを認識でき、

 

正確にミスマッチを修復することができるのです。

 

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

以上が主な修復機構の仕組みになっています。

 

今回はこれだけ書くだけで、結構な字数になってしまったので、

 

相同組換えについては次の記事で個別にまとめたいと思います。

 

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました🙇‍♂️